飛鳥アートヴィレッジ 2016
2016年11月19日[SAT]-27日[SUN] 南都明日香ふれあいセンター「犬養万葉記念館」
2016年11月19日[SAT]-27日[SUN] 南都明日香ふれあいセンター「犬養万葉記念館」
2年ぶりの開催となった通算4年目の「飛鳥アートヴィレッジ」は、今年度から実施形態を一新しました。参加アーティストは5名から3名に絞り、同時期に全員での滞在(アーティスト・イン・レジデンス)は行わずに、各自の制作スケジュールに合わせて随時明日香村に訪問・滞在する形式としました。作品制作についても、これまでは明日香の素材を自由に探して自由に制作するものでしたが、今年度からは村民との交流を通じて作品を制作することを前提としました。ワークショップを通じた村民との共同制作や、直接村民へのリサーチをおこなっての制作など、村民にもアーティストの作品制作に関与していただき、それによって当プログラムへの関心を深めていただくことを目指しました。そして展覧会の会場も南都明日香ふれあいセンター犬養万葉記念館に移し、作品と鑑賞者の距離の近さを感じられる空間での開催となりました。
これまでは、明日香の自然や歴史から、広く本質的な意味を探るアプローチの作品が多い傾向にありましたが、今年度の3名の参加アーティストは、共通して歌や物語、芸能や祭りなど、明日香の伝承を作品のテーマや素材にしました。今年度からの実施形態のリニューアルも主な要因となっていると思いますが、作品制作・表現における明日香の対象へのまなざしが概論・総論から各論的に移行したことが、今年度の大きな特徴でした。村に迎え入れた各々のアーティストの希望に沿った村民や素材の紹介など、運営側の対応もより円滑に進むようになり、作品の素材を探す範囲を村民の身近なところにまで広げられたことは、新しい成果になりました。
この成果を通じて、明日香をテーマとした作品制作を軸に、アーティスト、村民、運営側が一定の相互理解を持つことにより、三者間の健全な関係性の深まりにも寄与していくはずだと思います。それぞれの明日香のまなざしがよりよく交差していく場として、当プログラムが機能していくことを強く願います。
2016年度 プログラム・コーディネーター
インディペンデント・キュレーター
山中 俊広